抗日-血戦緬甸
北京歡樂億派科技有限公司 / Kungfu Studio, 2003

ある日、いよいよ盛り上がってきた抗日戦争たけなわの1944年、ビルマ(緬甸)の果てしないジャングルで、中国人民の最も恐ろしい敵である鬼子 ― 旧日本軍の兵士を正義の銃弾で一万人くらい殺してみたくなった? そんな時は、中国産のこのゲームを初めから終わりまで遊ぶと丁度いい。プレイヤーは中国軍遠征隊の一兵士。誤情報による探索で日本侵略軍の占領地域にうっかり入り込んでしまった、どじっ子先遣隊だ。敵に囲まれた密林、友軍の主力部隊は100キロの彼方。本部は言う、救援の時まで一里塚たる陣地を死守せよ!いま、孤立無援の抗日ヒーローが覚醒する!


タイトル画面 どす黒い血のしたたるタイトルロゴ、鋭い眼差しであなたを見据える中国軍兵士の顔。背水の陣で目覚めた抗日ヒーロー、血生臭い射撃の快感!
すすめー すきありー (日本語音声) 内容は拍子抜け感にあふれる Beach Head 風味の銃座視点完全固定シューティング。四方からバイ菌のように沸いてくる日本軍兵士を撃ちまくり。
貴様の命は貰った! 抗日ヒーローがあまりにすごいので、97式中戦車や零戦も登場。日本は同盟軍の武器庫から強奪したロケット砲も投入して、一人の男に挑むのだ。
また浪人風体の男たちが 国外在住の日本人志願兵 「武器を取った彼らは国際法の保護を受ける市民ではない。軍国主義の残党を殲滅せよ」 という説明が何か恐ろしい。
”焼夷弾の壮観な場面” 同盟軍のナパーム弾(試験段階との設定)攻撃。航空支援を要請すれば、抗日ヒーローはいつでも烈火の海に日本鬼子を溺れさせることができる。
軍用トラック・装甲車も 遠景ではスプライト表示、ある程度の距離まで近づくとばりっとポリゴン化する帝国陸軍。最接近すると銃剣による斬り付け・斬り込み攻撃に発展。
血がしたたってない 当該タイトルの欧米向けリリースは、ValuSoft から Vietnam War: Ho Chi Minh Trail の名前で店頭に並んでいる。…ええと?そんなんでいいの?
雨のベトナム ゲームプレイはそのままに、手持ちの武器をアメリカンに直して、敵をベトナム兵やゲリラにすげ替えた驚愕の市場戦略。ミッション形態もまるで同じ。

Windows上で認識されるアプリケーション名は、ベトナム版はもちろんビルマ版も ”Vietnam War”。開発元が 「抗日三部作」 と銘打ったシリーズ第一弾 抗日-血戦上海灘 (Shanghai Dragon) の続編であること・発売時期を勘案すれば、企画としては 抗日-血戦緬甸 がメインではあるのだろう。しかし公式サイト上でゲームの意義とか中国の歴史について壮大な風呂敷を広げている在北京の開発元にしては、ちょっと節操のない商売の仕方だな…という印象はどうしても拭い切れない。

その開発元の社長さんが
「ゲーム批評」 2004年3月号誌上の海外クリエイター事情特集に、ちょっとしたコメントを寄せている。技術・科学分野に優れ”中国のMIT”とも呼ばれる清華大学出身の王さん 「(海外製に頼らず)ぜんぶ自分たちで、3Dエンジンもゼロから書き起こすんだ」 との力強いお言葉だ。できればゲームのコンセプトも歴史に頼らずゼロから書き起こして欲しいものである。そして”その完成度で抗日”して貰えればずっと嬉しいのだけれども、それはもう少し先になりそうだ。

なぜなら前述の通りこれは三部作の第二弾なので、最低でもあと一つ抗日遊戯が残されているのだ。現在開発中のそのタイトルは 抗日-血戦釣魚島。公式サイトの説明は相変わらず
活きのいいアジっぷりだ。釣魚島(尖閣諸島)に漁船で乗り付けた”愛国人士”の話に始まり 「日本の海上保安庁がそれを妨害したニュースを聞いて、我が社のメンバーは義憤で胸がいっぱいになった」 「これはごく平凡な一般人の怒りの表現、愛国の義挙を支持する」 とか。それでこの (3つ目の) テーマが決まったというのだから恐れ入る。ゲームには華成竜を含む民間抗日英雄が登場するらしい。

もちろんビルマを扱った本作品も抜かりなく
歴史背景を解説した上で、キミは中華民族の外敵を防ぎ止める偉大な志の代表者! ビルマ (現ミャンマー) に血の雨が降る! えずいてしまうほどの射撃の快感! と煽りに余念はない。全60ミッションに及ぶ機銃の撃ちっ放しミッションは単調ながら非常に平板で飽きのくる作りである。第一滴血 / 雨林之舞 / 戦虎的咆哮 / 血色黄昏 / 草木皆兵 / 受傷的天使 …いちいち格好良さげなミッション名が用意されているのは少し面白いが。

コンテンツ作成にあたり、以下のサイトより引用或いは抜粋をさせて頂いた。

北京歡樂億派科技有限公司 (開発元)
ValuSoft (ベトナム版発売元 / TryGamesのオンライン販売
国際共産趣味ネット (奮い立て いざ!インターナショナル)
Armour Studio (メカニズムの美)
マイクロマガジン社 (出版屋さん)
琉球新報 (新聞屋さん)


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