Ignition
Virgin Interactive / UDS, 1997

コース上に設けられた様々な障害を可愛らしいミニカーで乗り越えていく、Micro Machinesに酷似したクォータービュー視点のレーシングアクション。世界各国の風景を特徴的に織り込んだ全7レベル構成。プレイヤーはチャンピオンシップを勝ち抜いて辿り付いた第6の都市、Tokyo Bullet(東京弾丸=東京超特急) と題されたフィールドに地獄を見る。画面全体を埋め尽くす圧倒的な日本語表現のボリューム感はもはや暴力に近い。おもちゃのような街並みに、弄ばれた看板の群生を追う。


東京電気街口 周回遅れの最下位に甘んじながらちびちびとアクセルをふかしつつ、華やかな東京の夜景に舌鼓を打つのも一興だ。高速道路から見下ろす街の灯。
回転寿司 その他 妖しく光る看板の杜。節操なく多用される原色が我々の美的センスを挑発する。確かに、日本の街づくりは景観保護の観点が抜け落ちているが…。
ラヂオ ∞ 無限大 メニュー画面でSVINPOLEと打ち込めば、ソフトウェアモードでのみ、チェイスビューでのプレイが可能になる。新たな視点が齎す、日本語の新種発見。
いぐにっしょん ひらがなで いぐにっしょん と書いてみる。ワンショットにこれだけ大量の日本語が収まる作品も珍しい。誤字や脱字が皆無というのも驚きに値する。
ニトロあります 貸しボート ニトロあります、貸しボート。慣れない日本語で不条理ギャグに挑戦したガイジンさんの意欲作。このようにかなり個性的な文章表現も散見される。
安く買う高く売る 中古売買における基本理念を高らかに謳い上げた質屋の看板。ちなみに音楽CDやゲームの場合、買値の7倍で売るのが業界の黄金律らしい。
佐野釣具 生餌 佐野釣具は南房のボート屋?局所的にリアリティーが感じられる夜の商店街。テクスチャの解像度が粗く単色ベタ塗りが多いため文字が潰れ気味。
夢の高速鉄道 この美しく狂おしい風景を見よ。紅の新幹線、夜の街の狂走。三両編成で頑張る夢の高速鉄道として、青色も押さえて置くことを強くおすすめしたい。

風景写真や資料写真をそのままテクスチャーデータとして用いるのではなく、大量の日本語素材を自ら生成した努力の跡が窺える”日本人泣かせ”のタイトル。開発元の本拠地、遥か遠いスウェーデンという国で掻き集められた東京の情報とは、いったいどのようなものであったのだろうか?残念ながら我々にそれを知る術はない。内容から見て、ある程度日本語は理解しているようだが…。

我が国が西洋人によって表現される際、頻繁に使われる手法として”漢字や片仮名を中心とした日本語の理由なき繁用”が挙げられる。当該タイトルではその傾向が特に著しい。”日本語の看板を並べればそこは日本になり得る”という安易な発想と、日本の一面に過ぎない秋葉原等の電気街的光景ばかりを意識した、固定的かつ短絡的な観念に強い反発を覚えずにはいられない。

コンテンツ作成にあたり、以下のサイトより引用或いは抜粋をさせて頂いた。

Virgin Interactive (発売元)
Unique Development Studios (開発元)
TRACKER MARINE (Nitro Team Member)
Koji Home Page (だからといってボート釣り)


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