No One Lives Forever 2
A Spy in H.A.R.M.'s Way

Sierra Entertainment / Monolith Productions, 2002

H.A.R.M.と結託したソビエト連邦の極秘プロジェクトが第三次世界大戦を引き起こしそうな1968年の10月。「もし暇だったら対応してくれないかなあ」 UNITY本部からCate Archerに届いた一通のメールが思い出に残る旅の始まりだった。日本のどこか、冒険活劇のプロローグとして描かれるイノタキ(井の滝?)の町並みは、我々が忘れてかけていた何か― 例えばそう、何に使うのか分からず球状の出っ張りをおもちゃにして遊び怒られたおじいちゃんちの中山式快癒器や、郷里の月虎かとりせんこうのむせ返るような除虫菊の匂い ―を鮮やかに蘇らせる。…ことがあるかも知れない。


番傘か蛇の目 小粋な姉さん風のニンジャガールIsako。作中ではあまり語られないが、彼女は父の抱えた賭博の借金のため、仕方なく悪事に手を染めているらしい。
武器にはもちろん奪った手裏剣や刀を使用可能 囲炉裏を囲んで倒れるくのいち構成員ら4名。吊るした鉄鍋で生姜入りの甘酒でもやりたいところ、凄腕女スパイによって残念な結果となったようだ。
提灯「ひので商店会」 「週末名古屋へ買物に行こうよ」「駄目、暗殺の仕事が入ってるの」 物陰から聞き耳を立てると仲良し忍者が他愛ない会話に没頭していることもある。
一体誰が思い付いたのか… 薬局の店先?に回転式の看板塔。「快便器」 は字面から「中山式快癒器」のパロディに間違いない。「象月かとりせんこう」は「月虎」の翻案か?
男が一人で餡蜜食えないしさあ、一緒に食べてよ ”あんみつあります” ”本店自慢のみたらし団子”和菓子処・鶴一で落ち合ったHatori-san。「一人で食べるのは恥ずかしくて…」 とか言い出しそうだ。
サクラ シャツ 学生服 引用元はサクラ日本学生服のホーロー看板だろう。日本語看板についてはこうした志向性のものが多く、雰囲気作りに一役も二役も買っている。
天高く ゲーム中、CateとIsakoは計3回対峙することになる。顔見せで刺され、嵐のなか一矢報い、そして最後にIsakoの屋敷で迎える秋空の最終決戦だ。

連なる軒々は田舎の情緒にあふれ、心地よく懐かしい郷愁を誘う。 しかしどことなく真新しい匂いのするテクスチャの感触、理路整然無機質に居並ぶ和風建築の表情が、村全体を軽い違和感で包み込む。平屋建ての「うさぎ小屋」が延々と繰り返される光景はさしずめジオラマといった趣が強く、円柱ポストや菰樽、ビールのプラケースなど、せっかく気の利いた小物類も映画のセットやミニチュア模型のごとくに受け取られその映像効果を減じてしまっているきらいがある。

当該タイトルの肝である60年代テイストを昭和に置き換えれば35年近辺 (より正確には1968年 = 昭和43年との設定が提示されている)、村の様子はそれよりも更に幾分か古く感じるものの、日本でもしばしば盛り上がりを見せ、時折思い出したようにマスコミが報じるレトロブームに近い味わいを大胆に盛り込む発想は、確かにMonolithでなければできない芸当だろう。

例えば今作に類似の違和感は、上野の
下町民俗資料館やナムコのナンジャタウン、江戸東京たてもの園のようなテーマパークでも感じる”作り物・借り物の越えられない限界”であり、味付けが濃い目になるのを承知で演出に徹したのであれば、今回その方向性は決して誤りではない、というフォローが可能だ。「懐かしさの記号」としてホーロー看板を持ち込む着眼点も悪くない。

くの一だらけの忍者村に美形のIsakoを頭領として配する辺りも、オタクの巣窟Monolithの名に恥じないコンセプトである。女スパイが女忍者をめった切りに切り刻んでゆくゲームプレイは冷静に考えると相当にマニアックな趣向だ。きちがい染みた悪の組織にあってひとり正気を保つ東洋の神秘、Cateとの最終決戦で己の刀をチョップで叩き割りH.A.R.M.との決別を約したIsakoの姿は凛として潔く、そのキャラクタは別格扱いである。もしNOLF3が開発されるのであれば、「更正し、部下のくのいちを引き連れてUNITYの諜報員に」 という展開はいかにもありそうな線ではないだろうか?

掲載日:2002年12月1日

コンテンツ作成にあたり、以下のサイトより引用或いは抜粋をさせて頂いた。

Sierra Entertainment (発売元)
Monolith Productions (開発元)
撮る旅・歩く旅 / ほのぼのRUNページ (旅 / マラソン)
江戸ッ子散歩日記 (東京のローカルを歩く)
うろぼろす堂 (さえない中年の労働者)
れとろ看板写真館 / お散歩Photo Album (路上観察・看板系)
福助堂 (東京近郊のアミューズメントパーク)


   
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