湾岸 Midnight Club II
Rockstar Games / Rockstar San Diego, 2003

「YAKUZA WILL DRINK YOUR BLOOD... 最後の血の一滴まで飲んでやる!」 Shinjuku を根城に暴力と暴走に明け暮れるヤクザ Kenichi は、下手糞な英語と流暢な日本語を使い分け、プレイヤーに猟奇的な脅しをかける 「You are not anything... お前は何でもないんだ!」 熱いバトルのさなか、どこからともなく聞こえる声に思わず吹き出すと、バンパーのひしゃげる鈍い音がした。今ぶつかったのは街灯なのか街路樹なのか歩行者なのか。詳しくは店頭まで!! ドリンク ドリンク 三鷹書店!! 狂い咲き乱れる日本語の華、方向を見失いカーブを曲がり損ね、突っ込んでゆく国会議事堂。


左奥手は渋谷109 街の様子はいかにもそれらしく作り込まれているが、単語ベタ張り・平板な色彩のでっちあげ日本語看板はお世辞にも上等な出来とは言い難い。
ぶった切り い子どもじない?方向幕には 「東16 通り(三)・東京駅八重洲口」 の行き先表示、夕陽のなかの都営バスは全ての謎と疑問を無視して走り続ける。
ケンイチ やくざ 不法 新宿 勝負の前に挑発、後には負け惜しみの言葉が語られる、ライバルからのビデオレター。Kenichi は悔しそうに言い放った Yubidume is not required.
よくミニカーでこんなことしたな… 雨上がりの蒸し暑い夜、霧に視界を奪われた橋の上で、大型トラックと乗用車の衝突イベントが発生。各種公務員のお仕事ぐるまが現場に大集結。
こんな雷門は嫌だ ASAKUSA は浅草寺の雷門、のつもりだろう。大提灯には小汚い字で「雲」と書かれている。仲見世は全部カフェになったらしい。そう書いてある。
あったかいウドンで!(小諸そば) お前の言うことに興味はない! 国内地下リーグの最古参、昼間はパワフルな現役ビジネスマンの横顔を持つトーキョーチャンプ、Makotoが吼える!
こんなマーケットは嫌だ ネオンだけが虚しく光る居酒屋の、歩道にぽつんと置かれた自販機の味わい。MUKOUJIMA と位置付けられたエリア、ちょっと心憎い演出である。
どこへ行っても江戸寿司が 「俺は日本語書くために入社したんすか!」 デザイナーは絶望と怒りをぶちまける。「ボブ落ち着くんだ」 なだめる部長 「適当でいいんだ、適当で」

東京タワー、東京都庁、東京ドーム、東京国際フォーラム、東京駅。ランドマーク全部入り、東京づくしの血みどろ暴走カーアクション。GTA傍流の箱庭レーシングで、思い掛けないトーキョー観光が始まる。未曾有の規模で再現された首都の街並み、名所名刹が”地理的に凝縮され”ガイドブックのページを繰るが如きドライブ体験はちょっとした驚きの連続だ。恐らくは海外ゲームに初登場となる施設や地域も数多く存在し (忠実に再現された建造物の外観それ自体に面白味はないため、画像の掲載は最小限に留めたが) 短かすぎるレインボーブリッジなど見所は満載である。

「お前の母ちゃん、床に落したんじゃねえか?」 一方で、Kenichi が悪態をついてしまうほど日本語看板の出来は悪い。というのも実在する商標・意匠・屋号をかなり神経質に排除した形跡があるためで、例えばビルの一階に貼られたテクスチャ、電気屋の店頭を収めた写真がそのまま使われているのだが、商品ポスターやメーカーのポップ広告があったと思しき場所全てが、「渋谷」 「スーパー下着」 「波止場」 「渋谷」 「渋谷」 「渋谷」 ひとつ残らず徹底的に書き換えられている。

同様に、資料写真を活用したであろう街の景色から実在の看板を潰していった結果、彼らが調べ出し使いこなし得る無難な一般名詞群 (ファッション、ブティック、マーケット等) が繰り返し、ロゴデザインに凝るでもなく汎用ゴシック体で並べられるという事態に陥ってしまったようだ。街の規模に比して弾数が少なすぎるのである。江戸寿司・三鷹書店・蝦夷紫商店街を中心に使い回しが激しく、どこへいっても同じ看板が出てくるのは興醒めと言う他ない。理由は色々あるのだろう、しかしそうした製作ポリシーがせっかく作った日本のクオリティーを大いに低下させたことは明らかだ。

なお、前作にあたる
湾岸 Midnight Club Street Racing は2000年、PS2版のみのリリースであり、トーキョーはもちろん日本はその舞台に含まれていない。しかし当時既に 「湾岸」 を冠していたことから、ゲーム化された 「湾岸ミッドナイト」 (2001年アーケード版稼動開始/翌年PS2移植版がリリース) とは無縁だ。考えられる 「湾岸の出自」 としては…ヤングマガジン誌上の 「湾岸ミッドナイト」 (1992年連載開始) そのものか、或いは湾岸トライアルLove (1997・パックインソフト・SS)、湾岸DREAM (1999・イリュージョン・PC) あたりもないとは言い切れない…だろう。

コンテンツ作成にあたり、以下のサイトより引用或いは抜粋をさせて頂いた。

Rockstar Games (発売元・Take2傘下)
Rockstar San Diego / Angel Studios (開発元)
NAMCO WonderPage (湯の川観光ホテル)
街の風景 / SBC / Fujiko Web (近代建築/信越放送/旭川市民)
The Another World / D2C (聖域/不治)
銀河クジラのHP (よろず偏り情報サイト)
Kominato Rallways Fan Page (小湊・九十九里)


   
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