Yume 2000
The Gathering / Inf, 1999

世界3大デモコンテストのひとつ、ノルウェイで開催されたThe Gathering 99において、見事優勝の栄冠に輝いたデモプログラム(メガデモ)。Every Little Thingによる”future world”をBGMに、ボーカルの持田香織をバーチャルアイドル”KAORI”に見立て、彼女のプロモーションビデオをイメージした構成と展開が特徴的。楽曲の転載に際しては供給元であるavex traxに使用許諾を得、MP3ファイルをそのまま収録するなど気合は充分。高層ビルに掲げられた日本語看板の迫力も凄まじい。


KAORI 老け顔とぽっちゃり体型がどうにも糠味噌臭く、垢抜けない印象のバーチャルアイドルKAORI。どことなく不満足げな表情を浮かべ淡々と踊っている。
怒涛の看板群 画面は曲調に合わせ、ネオ・トーキョーの街並みへと転じる。壁面を埋め尽くす日本語看板の密集度に呆然。ビルというよりは、看板の集合体だ。
新種発見 無意味な紋様のうねりはメガデモを彩る風物詩。写真は持田香織本人のプロマイドだろうか。画面の左上、”漢字フェイク”に惑わされてはならない。
ひとりで返済 ほのぼのローン、ほのぼのレイクはGEキャピタル傘下。取り立てもきっとほのぼの。消費者金融業界の隆盛はSoldier of Fortuneでも確認できる。
退廃的近未来 薄ぼんやりとして先行きの見えない、いびつに歪んだポリゴンの街。闇夜に浮かぶ高層ビル群と潰れたまんじゅうのような車は何を訴えているのか。
夏だ!野外だ!星の子チョビン 夏だ!野外だ!テクスチャーデータだ!星の子チョビンは石ノ森章太郎原作の、古き良きアニメ番組。大胆で過激!な選択眼と言わねばなるまい。
見覚えのある構図 不自然な態勢で歌い続ける、スーパー・アイドル・カオリ。何だか窮屈そうである。モーションだけ見ていると練習不足の下手なパントマイムのようだ。

日本から世界に発信されている文化として、ジャパニメーションばかりが強調される現状にあっては、このような路線の作品が殊更新鮮に映る。洋楽の影響が根強いと評されることの多い我が国のミュージック・シーンだが、こうした形で海外進出を果たしたことは素直に喜びたい。ELTのファンにして持田香織のファンという日本人なら、手を叩いて喜ぶか激怒するかのどちらかだろう。

消費者金融から蚊取り線香まで、デモ内で用いられている日本語の看板類は約40種に及び、そのジャンルの幅広さは圧倒的だ。だが高速な画面スクロールによって必要以上にそれらが強調されることなく、違和感を最小限に留めることに成功しており、全体的な構成力の高さが窺えた。

特筆すべきは日本の音楽文化を消化・吸収し、そこから新たな価値観を生み出そうという姿勢が感じ取れることである。無論まだ勢い任せの粗削りな点も多く、今後も更なる研究努力が求められるだろう。INF による一連の”バーチャル・アイドル・プロジェクト”に関しては、旧作を含めた詳細な調査を行う必要性があることを認識し、とりあえずのご報告とさせて頂きたい。

コンテンツ作成にあたり、以下のサイトより引用或いは抜粋をさせて頂いた。

The Gathering 1900 (コンテスト主催者)
yume_200.zip (デモのダウンロード)
avex network (音楽屋さん)
DEMO99 (メガデモ情報サイト・お勧め)
ほのぼのレイク (ひとりででき太)
甲虫君のいい加減なHP (広島東洋カープなど)


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